ヴィッセル神戸vsV・ファーレン長崎 ~神戸のこれから~

初めまして、シーです。

簡単に自己紹介すると、

  • 都内在住大学三年生
  • U15チーム、大学のサッカー同好会を指導
  • サッカー歴は現在進行形で15年目
  • 一般社団法人FiC一期生
  • FiC Labo試合分析プロジェクトヴィッセル神戸担当

他に何かあればまた聞いてください。

では、早速ですが試合の方にすすみます。
まずは両チームの並びから。

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・前節の鹿島戦では相手の形に合わせて4-2-2を採用したが、今節は格下(?)長崎が相手ということもあり、主導権をもって4-3-3を採用したヴィッセル神戸

・一方、V・長崎は試合前想定どおり3-4-2-1もしくは3-4-3を採用。鈴木武蔵は累積警告?でいなかったようである。

【神戸のb-upと長崎のプレッシング】
・神戸のb-upはアンカーが2CB間に落ちず、アンカーを中心に置いた4角形(水色)をメインに、SBを逃げ道にするものであった。

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・これに対して長崎のプレッシングは、ボールを持つことができるSBからの中盤IHへのパスを頻繁に狙っていた。

・前線5人(4人)、特にファーストDFになる澤田、大本の連動した守備で神戸のビルドアップの矢印を決定し、神戸のIHを狩りの対象とした。

・ファンマは藤田とデートすることによって、中央でのファーストプレッシャーライン突破を阻止し、澤田と大本は神戸CBを背中で見ながらSBの動きをコントロールしていった。

【神戸の打開策】
このように組織された長崎のプレッシングに対し、神戸が打開できそうだったシーンを詳しく見てみる。 

・このシーンでは長崎最終ラインの5枚とその前に構える5枚の間に、斜めのパスを入れることができた。

・このプレーを可能にしたのが
①前の5枚が陣形を整えきれていない(スライドが間に合っていない)こと
②神戸IH(三田)の高い位置どりによる最終ラインでの数的同数の創出。
これらの2点である。

・もう一つ別のシーンを見てみる。

・これは先ほど挙げた2点のうち②が効果的に出ているシーンである。(にしても釣られすぎではあるが・・・)

・どちらのシーンも決定的な場面にはつながらなかったが、長崎の守備組織が崩壊しかけた場面である。神戸はこの形を組織として素早く見つけてなんどもトライするべきであった。

 

・一方で、伊野波のアンカー起用により3バック化からのビルドアップがスムーズにいきそうだったのは面白い。相手の守備のスタートとなるファンマを動かすことによってより安定したビルドアップを目指した。

・また、本職がDFの伊野波が2CBの間に落ちることにより、奪われた時の守備力も挙げることができるこの形はこれからもっと見てみたいと思った。

【総評】
・リージョ体制になってから初めて自分たちがやりたいことをやろうと望んだゲームだったが、長崎の巧みなプレッシングにうまく攻略できない時間帯が多かった。しかし、その中でも5バックの攻略法をちょくちょく現象としてみられたのは面白かった。

・ここから代表WEEKを挟んで2週間落とし込みの期間がある。そして代表WEEK明けの相手は王者川崎である。同じようなサッカーを志向する両チームがどんな戦いをするのか、どちらが主導権を握るのか非常に楽しみである。